整体業界の現状と課題～業界の衰退を食い止めるために～

はじめに

整体業界は、近年急速に衰退しています。その原因は様々ですが、主に以下の要因が挙げられます。

• 高齢化による施術需要の減少
• 少子化による施術者の確保難
• 他の医療機関との競争激化

このままでは、近い将来、整体業界は存続の危機に瀕しかねません。そこで、本稿では、整体業界の現状と課題を分析し、業界の衰退を食い止めるための有効な対策を提案します。

現状

厚生労働省の統計によると、日本における整体院の数は、2000年の約10万軒から2020年には約7万軒に減少しています。これは、約3割の減少にあたります。

また、整体師の平均年齢も上昇しており、2020年には約54歳となっています。これは、少子化による施術者の確保難が原因で、若手整体師の流出が続いていることが伺えます。

さらに、整体業界は他の医療機関との競争も激化しています。特に鍼灸院やマッサージ院との競争が激しく、施術内容も似通っていることから、患者を奪い合っている状況です。

課題

整体業界が直面している課題は、大きく以下の3つに分類できます。

• 施術需要の減少
• 施術者の確保難
• 競争激化

これらの課題を解決しなければ、整体業界の衰退を食い止めることはできません。

対策

整体業界の衰退を食い止めるためには、以下の対策が有効と考えられます。

• 新たな施術メニューの開発
• 若手施術者の育成
• 他の医療機関との連携

以下では、各対策について詳しく説明します。

新たな施術メニューの開発

高齢化に伴い、従来の整体施術では対応できない症状が増えています。そこで、これらの症状に対応した新しい施術メニューを開発することが重要です。

例えば、骨粗鬆症対策の施術や認知症予防の施術などが考えられます。また、美容や健康増進を目的とした施術メニューも需要が高まっています。

若手施術者の育成

少子化による施術者の確保難を解消するためには、若手施術者の育成が不可欠です。そのためには、以下のような施策が有効です。

• 高校や大学との連携による就職支援
• 職業訓練校の充実
• 研修制度の充実

また、若手施術者が定着するために、待遇の改善や働きやすい環境の整備も重要です。

他の医療機関との連携

整体業界は、他の医療機関と連携することで、患者を紹介し合ったり、共同で施術を行ったりすることができます。これにより、施術需要の増加や競争激化への対策が期待できます。

連携先としては、整形外科や内科などが考えられます。また、介護施設やスポーツクラブとの連携も有効です。

その他の対策

上記以外にも、以下の対策が有効と考えられます。

• 施術料金の適正化
• 広報活動の強化
• 品質管理の徹底

施術料金の適正化は、患者にとって負担になりすぎないようにすることと、施術者の収入を確保することが重要です。広報活動の強化は、整体業界の認知度向上と新規患者の獲得に役立ちます。品質管理の徹底は、患者の満足度向上と業界の信頼性の向上につながります。

まとめ

整体業界を衰退から救うためには、施術需要の減少、施術者の確保難、競争激化という課題を解決することが不可欠です。そのためには、新たな施術メニューの開発、若手施術者の育成、他の医療機関との連携など、様々な対策が必要です。また、業界全体で品質管理を徹底し、患者の信頼を得ることが重要です。

整体業界は、高齢化社会における健康維持や増進に貢献できる重要な役割を担っています。業界の衰退を防ぎ、この役割を今後も果たし続けるために、関係者全員が協力して取り組む必要があります。

参考資料

• 厚生労働省「医療施設動態調査」
• 日本整体師会「整体白書」
• 厚生労働省「健康・医療戦略」